手紙

手紙 (文春文庫)

文庫が出たので読みました。
加害者の家族、この話では加害者の弟と、後半ではその家族に対する世間の差別や偏見や理不尽な扱いといったことがテーマの作品で、かなり重いテーマです。面白いといった小説ではありませんので、万人に進められる本ではないと思います。

加害者といっても、強盗殺人を犯した兄はけっして殺人鬼などではなく、逆に普通の人以上に弟思いのとても同情できる、しかし不器用な人間です。殺人を犯すきっかけになったのも、弟の好物（と思っていた）甘栗を取りに戻ったからというのも泣けます。
それに比べ、弟はかなり自分勝手な面もあり、途中なかなか同情しにくい場面もあります。
それでも、最後のまとめ方などはさすがにうまく、最後まで一気に読んでしまいました。
非常に重いテーマで、いろいろ考えさせられる本でした。

映画にもなるそうですが、由実子のキャストが沢尻エリカってどうなんでしょう？
初めて由実子が登場したときの主人公（弟）の感想では、「あるいは一目惚れされたのかなとも思ったが、さほど嬉しくはなかった。彼女のことを魅力的だとは少しも思わなかったからだ」ってありますが＾＾；